「私ごはん食べてねぇんだけど!」
「なんで私のごはんが無いの?殺す気か!!」
など、食事が終わった途端、認知症の利用者から怒鳴られた経験はありませんか?
そして、「食べたでしょ?」なんて言ってしまったら・・・
「ふざけんじゃねぇ!」と大激怒される・・・
私は禁句を言ってしまい、大激怒されました。
そこで、食べた事を忘れて気性が荒くなってしまう認知症利用者の対処方法として効果があった2点をお届けします。
ポイントは、
・食べた事を認知させる。
・他のことに気をそらす
この2点のポイントを押さえれば、限りなく暴言を吐かれることが減りました。
ユニット型の特別養護老人ホームの事例ですが、参考になると思います。
知らないからこそストレスが溜まってしまう認知症ケア。
楽しむ介護に変えていきましょう!
認知症食べた事を忘れるのはなぜ?
そもそも認知症の利用者が食べたことを忘れてしまうのはなぜなのでしょうか?
それは、認知機能が低下により記憶ができなくなってしまっているから。
エピソード記憶の障害で食事したこと自体を忘れてしまうんです。
さらに満腹中枢の機能も衰えてしまい食事をしても満腹にならないのも原因になります。
なので、ご飯食べてないとの訴えに「食べたでしょ?」なんてことを言ってしまうと
ふざけんじゃねぇよ!
と怒り心頭になってしまうのは必然と言ってもいいかもしれません。
さらに、認知症の利用者に注意しなければならないのが
/
記憶はできないけど感情は残る
\
ということ。
なので、毎回利用者を怒らせてしまう対応をしてしまうと、
なにか理由は分からないけどあのスタッフめちゃめちゃ嫌い。
となってしまい、信頼関係が崩れ他の場面の介護でも影響が出てきてしまいます。
私が働いていた施設でも
「ねぇちょっと来て、私あの人嫌いなの。私に近づけないで」
と、耳打ちされたことがあります。
そして、嫌われてしまったスタッフと喧嘩が日常になってしまい、そのスタッフは別ユニットに異動することになってしまいました。
認知症ケアの知識不足はトラブルの素
グループホームや特別養護老人ホームは認知症の利用者が集まるからこそ、トラブルにならないために早めに知識を蓄えましょう。
認知症食べた事を忘れ暴言を吐く利用者への対処法
食べてことを忘れてしまう認知症の利用者の対処法のポイントは2つ
・食べた事を認知させる。
・他のことに気をそらす
この2つのポイントを押さえて
利用者の性格によって対応のやり方を変えていきましょう。
下記の対処法は私が食べた事を忘れて暴言を吐く利用者に効果があった方法を記します。
なので、どんな利用者にも当てはまるやり方ではありません。
参考にしながら、あなたが対応している利用者だったらどんな方法がいいのかを考えながら読んでみてください。
大事なポイントは2つですよ。
・食べた事を認知させる。
・他のことに気をそらす
私はこんな方法で2つのポイントを行いました。
食べた直後の場合
私が初めてその利用者と関わった時
食事を終えられたので、他の利用者は食べられている中
「下膳していいですか?」と確認をとり下膳しました。
これが間違いだったのです。
下膳し5分も経たないうちに
「私の食事は?私食べてねぇんだけど」
と言われてしまいました。
なので私は、「食べましたよ、今下膳したじゃないですか。食器もここにありますよ」
と、食器を指さすと
「ふざけんじゃねぇ!あれは私んじゃねぇよ。嘘ついてんじゃねぇぞ!」
と怒涛の勢いで怒鳴られました。
一度火がついてしまうと収まらず、私が何を言っても聞き入れてもらえませんでした。
そこで、次からどんな対処をしたのか
それは、
/
下膳しない
\
食べ終わっても他の利用者が食べ終わるまで食器を片づけないようにしました。
すると、
不機嫌になることは無くなり、怒鳴られなくなりました。
「食べ終わったから片付けて」
と言われるけど、「準備が出来たら片づけますね」と伝え
最後に下膳するようにしました。
これは、2つのポイントのうちの
『食べた事を認知させる』ことを意識した方法です。
この利用者の場合はこの対処方法が上手くいき、怒鳴られることがなくなり、楽しく食事を終えられるようになりました。
食べてから時間が経ったときの場合
下膳してから30分や1時間経ってから
「あれ?ご飯食べてねぇんだけど。ご飯まだ?」
と言われてしまった時はどうすればいいでしょうか?
食器を片づけしまっているので、食べたことを認知させるのは不可能です。
「1時間前にご飯食べ終わりましたよ」
なんて言ってしまうと、怒涛の勢いで怒鳴られるので絶対にダメ!
私はやらかしました・・・
そこで、2つのポイントの
/
気持ちを切り替える
\
この対処法が重要になります。
どうやって気持ちを切り替えてもらうのか?
それは、あなたの『言葉のかけ方』です。
そこで大切になる考え方が、
認知症の利用者の立場になって考えること!
認知症の利用者にとっては『食べていない』ことが現実なんです。
そこに「食べたでしょ」なんて言われたら、「はっ!?ふざんじゃねぇよ」ってなるのは当たり前だと思いませんか?
だからこそ、認知症の利用者が感じている世界観を意識して声がけすることが大切!
私の場合は『食べてない!』と意識しているものを
『食事の準備中なんだね』と気持ちを切り替える声がけを意識します。
例えば、
「厨房で美味しく調理中ですよ。今日のメニューは・・・」
と、メニューを伝えコミュニケーションを取りながら最後に
「お待ちの間、何か飲み物を飲みませんか?お茶とコーヒーとミルクティーならどれがいいですか?」
と飲み物を進めるようにしています。
すると、飲み物を選ぶことで気持ちが食べ物から飲み物へ移り、さらに飲みながら他の利用者と会話していると
食べていないことを忘れて違うことに気持ちが切り替わっていることがあります。
なので、気持ちを切り替える言葉掛けを意識することで、「食べてない」と怒る利用者が笑顔にかわります。
なので、飲み物の他にもDVD体操やレクレーションに誘ったり、家族が持ってきてくれたおやつを提供したりして
気持ちを切り替えることをしています。
訴えがあったときの時刻と状況によって声がけを工夫してみてください、
夜中の場合
夜中にも「ご飯食べてない」と訴えられることがあります。
夜中の場合も食べた事を認知させるのは難しいので、他のことに気をそらす方法がポイントになります。
ただ、見当識障害の影響で時間の感覚が分かっていないので
時刻と朝食の時間を伝えれば落ち着かれることがほとんどです。
「まだ夜中??だからみんないないのか。じゃあ寝るか」
となるパターンが多いです。
けれども稀に「夕飯食ってねぇよ。なんで食わせねぇんだよ」となる場合もあります。
その時はとにかく謝ります。
他にことに気をそらしたいけれども、夜中にいい言葉掛けが思い浮かばず僕は謝ることにしています。
利用者にこのスタッフに怒ってもどうにもならないなって思ってもらえるようにするのが今回のコツ。
「申し訳ございません。私、夜勤担当なので夕食のこと分からないんですよね。遅番スタッフの手違いで何か問題があったのかもしれません。朝食は私が準備するので大丈夫です。
夜中で厨房も事務所も閉まってしまっているのでどうにも出来ないんです。朝食までお待ちいただけないですか?」
と、遅番スタッフに非があるように気をそらします。
この方法で「しょうがねぇな」と落ち着くこともありますが、
「ふざんじゃねぇよ、警察呼べ」や「こっちは金払ってんだよ」
とさらにエスカレートしてしまう場合もあります。稀にですが、
その時は、一緒になって怒ります。
「お金払っているに食べさせてもらえないのはホントにふざけてますよね。明日一緒に事務所にクレーム入れましょう!」
と同調することで、気持ちを分かってもらえたと感じるのか、「お願いね、あんた!」と落ち着かれ居室に戻られます。
この方法がいいのかは分かりませんが、夜中の場合はこんな対処をしています。
どんな方法が正解なのかは正直私にもわかりません。
だからこそ、
/
あなただったらどんな言葉掛けをしますか?
\
あなたと利用者の関係性を意識して言葉を選んでみてください。
まとめ
認知症の利用者が「ご飯食べてない」と怒ってしまう時の対処法をお届けしました。
ポイントは2つ
・食べてことを認知させる
・他のことに気をそらす
食べた直後なら、食べた事を認知させやすいですが、
下膳した後だと、認知させるのは不可能に近いので、他に事に気をそらす言葉掛けがメインになります。
なので、利用者に合わせてトライ&エラーを重ねてください。
これが正解!って言葉掛けは存在しません。
利用者がどんな心理状態なのかを意識して関わることで、その利用者の最適解が分かってきます。
そのためにも信頼関係を築くことをより意識してください。
記憶は残らないけど感情は残る!
あなたの好感度で利用者の反応も変わってしまいます。
嫌われたら何を言っても聞き入れてもらえません。
なので、常日頃のコミュニケーションを大切にしてくださいね。
今日伝えたことも私が利用者と上手くいった方法であって、全部に当てはまるわけではありません。
自分だったらどんな言葉掛けをすれば上手くいくかな?
と、いろんなパターンを考えてみてください。